家庭科でエシカルファッション!ひろがる意識改革!/お茶の水女子大学附属高校教諭・葭内ありささん(後編) 【Cover Story】女性たちにひろがるDo wellな取り組み
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家庭科でエシカルファッション!ひろがる意識改革!/お茶の水女子大学附属高校教諭・葭内ありささん(後編)

お茶の水女子大学附属高校で家庭科を担当している葭内(よしうち)ありさ先生は、衣食住に留まらず生活に関わる広い分野で、「エシカルファッション」の教育実践など独自の手法を用いて、生徒たちの「エシカル・マインド」の醸成に努めています。

前編に続き、その葭内先生に教育に懸ける想いやこれからの夢などを伺いました。

生徒たちに現れた変化

DOWELL編集部: 授業の様子が目に浮かびます。先生の活動によって、何か生徒が変わってきたなと実感されたことはありますか? また、活動を続ける中で、先生自身の周囲に変化はありましたか?

葭内先生: 私も生徒たちにどの様な変化があったのか知りたくて、卒業生に話を聞いたりしています。先日、あるエシカル・イベントで、大学3年生になった卒業生から自分でエシカルなメディアを立ち上げたという話を聞きました。高校の教え子たちが私が想像した以上にエシカルなことに興味を持ち、その後、自分なりのやり方でエシカルを広げています。

DOWELL編集部: それはうれしいですね。

葭内先生: 私が2011年にエシカルの授業を始めた時は、世の中のエシカルの認知度は11%程度しかなく(※株式会社デルフィス「第2回エシカル実態調査」より)、生徒たちもエシカルについてほとんど知りませんでした。でもここ数年、SDGsという言葉が一般的になり、エシカルという言葉を「知っている」もしくは「詳しくは分からないけど聞いたことはある」という生徒が少しずつ増えてきました。エシカルは、確実に根付いてきていると思います。

そうした中で、授業で大切にしているのは、「知る」ことだけではなく、更に「発信」もすることです。エシカルについて知っている生徒は、自分の考えを発信して、人に伝えて欲しいです。人に伝えることで更なる理解にもつながります。そこで「発信」する機会を設けるようにしています。

DOWELL編集部: それは、具体的にはどの様なことでしょうか?

葭内先生: 一例ですが、ここ数年継続しているのは、高校生が自分の学んだことを小学生に説明する取組みです。テーマはチョコレートにまつわる児童労働についてです。高校生にとっても、情報を収集し、自分なりに問題を理解し、小学生に分かりやすくしかも印象に残るように説明するにはどうしたらいいのか考える過程や、小学生の反応から理解が進みます。

中には、自分自身がガーナにボランティアに行った経験を基に話をする生徒も出てきました。経験を通じた言葉が、小学生や同級生にすっと伝わったのはもちろん、彼女も自分の経験を見つめ直す機会になったと思います。自分で情報を発信することには、この様な思いがけない効果もあることを生徒たちに知ってもらえたらと思っています。

DOWELL編集部: エシカルという考え方を上手に広げる為にも、情報発信の練習をすることは意義があると思います。ところで葭内先生ご自身は、授業以外でもエシカルな活動をされているのでしょうか?

葭内先生: エシカルに関する教育関係者向けの本の執筆や、家庭科の教科書の編集を行っています。また教員向けの研修会や企業のセミナーの講師、消費者庁の倫理的消費調査委員会の委員なども務め、啓発活動を行ってきました。

その中でも、私が力を入れているのは教科書の編集です。家庭科は、全員が履修する必修科目です。高校の家庭科の教科書にエシカルやサステナブルを入れることで、直接的な、高校生の学びの機会となります。若いうちに、関心の有無に関わらず「知る」ことはとても意味があると思いませんか?

また、これは学校の授業に関することですが、2018年に、10年に一度の学習指導要領の改訂があり、高校の家庭科の4つの指導領域の一として「消費生活と環境」という領域が設けられました。これから先、家庭科の授業はますますエシカル、サステナブルな内容が増えていくかもしれませんね。OECDでも、次世代教育として、「well-being」、「よりよいあり方」、「幸せになる為の教育」、を目標に掲げています。そして日本固有の家庭科は、その目標に必要なものとして、世界でも大変注目されているのです。

エシカルと女性の社会進出

DOWELL編集部: これからの時代を担う人たちが、しっかりとエシカルやサステナブルに関する教育を受けられる様になるのはとてもいいことですね。さらにエシカルが広まる為に大切なポイントの一つが女性の社会進出だと思います。毎年3月8日は国連が定めた「国際女性デー」ですが、これからの女性の社会進出について葭内先生の考えをお聞かせください。

葭内先生: 女性の社会進出に関しては、私どもも学校教育の場で、教科学習の他にも、いろいろな取組みを進めてきました。その一例として、お茶の水女子大学附属高校が文科省から「スーパーグローバルハイスクール」の指定を受け、女性が社会でもっと活躍する為の、探究型の教育プログラムを開発してきたことが挙げられます。

「スーパーグローバルハイスクール」とは、「グローバルリーダー育成に資する教育の研究・開発を進める高校」として文科省が指定した高校です。本校は「女性の力を世界でもっと発揮させるにはどうしたらいいか」というテーマを掲げ、2013年から18年までの5年間、この指定を受けることができました。そしてこの5年間に亘り、グローバルな社会課題を解決し、平和と持続可能な社会を実現していく為の、女性の能力や資質を育てる教育を行ってきました。その学校教育の一環として国際協力とジェンダーをテーマとしたクラスがあり、探究活動として女性の社会進出を啓発する活動やイベントもいくつも実施してきたのです。

DOWELL編集部: 具体的にはどのようなイベントだったのですか?

葭内先生: 一つが、SDGs達成の為のジェンダー啓発のイベントです。貧困や教育格差、性差別などに苦しむ発展途上国に生きる少女たちのリアルと希望を描いたオムニバス形式の映画「Girls Rising ~私が決める、私の未来~」の上映や、学識有識者と高校生のトークセッション、LGBTのワークショップ、オリジナル・エシカルグッズの販売など盛りだくさんの内容でした。

また、大手の洗剤メーカーにアンケートを送り、CMの出演者の決定権を持っているのは男性か女性か、また制作に携わっている方の男女比などを調べて発表もしました。これに新聞社の女性記者が興味を持ち、複数の新聞で紹介されました。

ただ、このように学校教育での取組みは進めてはいるものの、現実を見てみると、日本は女性の社会進出に関してはまだまだ不十分に感じます。男女格差を示すジェンダーギャップ指数を見ても、日本は、2019年には、調査の行われた153カ国中121位と、前年の110位から順位を下げてしまいました。

DOWELL編集部: 現状を変えるには、もう少し時間が掛かるかもしれませんね……。では最後に、女性の社会進出の為には、今後どの様なことに取組むべきか、そして、私たちはどの様な社会を作るべきだと思われるか、葭内先生の考えをお聞かせください。

葭内先生: 女性の社会進出を高いレベルで実現するには、「女性の社会進出を進める為に頑張ろう!」という気持ちだけでは難しいのではないかと思います。やはり法律や制度による仕組みが必要です。そもそも、ジェンダーというと女性差別の話だと思っている人も多いのですが、ジェンダーはもっと多くの視点や事柄を含む、私たち全員が関係することです。

最終的には、性別に関係なく、みんなが心豊かに幸せに生きることができる社会を実現していく、その為には、社会全体で仕組み作りを進めていくことが必要です。ですからまず必要なのは、そういう仕組みを作る為の知識をみんなで学べる「場」かもしれません。そんな、はじめの一歩としての場を作ること。これを進めたいですね。

家庭科でエシカルファッション!ひろがる意識改革!/お茶の水女子大学附属高校教諭・葭内ありささん(前編)

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