地球温暖化問題についてもっと話して、アクションをしよう /環境アクティビスト 清水イアンさん(後編) 【Cover Story】 環境についてもっと話そう!
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地球温暖化問題についてもっと話して、アクションをしよう /環境アクティビスト 清水イアンさん(後編)

環境問題への意識が低いと言われる日本。清水イアン氏は、その解決策として「環境問題に強いメッセージを出せる政治家を期待したい」と話します。では、政治家ではない私たちは、環境に対してどのようなことができるのでしょうか。清水さんのこれからの取組みと合わせて、お話を伺いました。

日本らしい考え方で、環境意識を高めていきたい

DOWELL編集部:  CO2をたくさん排出して温暖化を引き起こしているのは先進国ですが、被害を受けているのは温暖化に加担していない貧困国が多いというのが現状です。先進国がそうした温暖化の責任をとって問題を改善していこうという「クライメート・ジャスティス」の観点が日本には欠如していると指摘されているようですが、その点はどう思われますか。

清水さん: 「クライメート・ジャスティス」は非常に大切だと考えています。排出するところが益を得て、そうでないところに被害が出る。明らかに公平ではなく、矛盾が存在しています。しかしながら、この「クライメート・ジャスティス」という考え方が日本になかなか浸透していないというのは事実でしょう。ではなぜ浸透しないのか?

横文字であることからわかるように、この概念は日本発のものではありません。さらにそれが伴わないことを“欠如”と表現されると、コンプレックスを感じてしまって、向き合いづらいのかも知れません。思うに古くからの日本人の気質というものが少なからず影響しているものと考えます。

DOWELL編集部: ということは、この先も改善していくのは厳しいのでしょうか。

清水さん: 日本では、キリスト教圏などでは一般的な「ジャスティス(=正義)」という概念にはあまり馴染みがなく、しっくりこないのかもしれません。でも、日本には和を重んじる文化があります。平穏を守っていくとか、和を乱さないという観点においては結束できるのです。

だから、温暖化問題の解決に向けては、「クライメート・ジャスティス」というアプローチを変えて「地球の温暖化問題は人々の和を乱す問題」と位置づけることを提案したいです。いわゆるフレーミングの問題だと思うのですが、「温暖化は、日本や世界で平和に暮らしている人々の、まさに和を乱すもの」と発信していけば、日本でも共感を得ていく可能性は高まると思いますよ。

DOWELL編集部: なるほど、「正義」でなく「和」。日本人にはより身近に感じられ、働きかけやすいように思えます。これから日本人が環境問題に関わっていくためには、どのような意識や行動が必要だと考えていますか?

清水さん: 置かれた立場でやれることが異なってくると思います。政府には科学的根拠に基づいた政策で、国民の幸せを最大限に維持していくことを期待しています。企業は経済を動かす大きなエンジンですが、地球の資源の再生速度に適合したスピードでのビジネスを心掛けていただきたいですね。一方で個人では、やれることに限界があるように見えますが、実は政府の活動も企業の活動も、根本的に支えているのはここです。環境問題に真剣に取組んでいる政治家に票を投じるとか、環境を破壊しない企業の商品を選択するとか、周りを見渡せば身近に取組めることがたくさんあるのではないでしょうか。

気軽に参加できるプラットフォームの構築を目指す

DOWELL編集部: これから清水さんが、特に力を入れていこうとしている取組みはどのようなものですか?

清水さん: 冒頭でも軽く触れましたが、『weMORI』ですね。このシステム自体はとても単純なものです。森林の保全と再生をしている団体が世界中にあるのですが、そういう人たちとユーザーを直接つなげるプラットフォームです。温暖化と生物多様性の減少が、環境問題において大きなウエートを占めているのですが、そのふたつを同時に解決に導けるのが、実は森林の保全と再生なんですよ。

ユーザーには、関心を持った団体の活動に寄付をしてもらうというアクションを促すわけですが、100円、1ドルといった少額から参加できるのが特長。まるで一杯のコーヒーを飲むように、気軽に環境問題に取組むことができるのです。

DOWELL編集部: なるほど、100円で環境問題に参加できるのは魅力ですね。

清水さん: さらに、“インパクト”と呼んでいるんですが、寄付したお金がどのように遣われたか、具体的に伝えることを意識しています。寄付をすると「ありがとうございました」というメールが送られてきて終わり、という団体は多々ありますが、やはり自分が寄付したお金がどのように遣われたのか気になるじゃないですか。「何平方メートルの森を守った」「何本の木を植えた」「CO2の貯蔵にこれだけ貢献した」といったように結果を可視化して伝えることで、自分ごとになると思うんですね。

あとアプリの中に計算機が組み込まれていて、自分の二酸化炭素の排出量が算出できます。たとえば、自ら出している二酸化炭素が毎年10キログラムだとかわかると、その分をアプリ内の寄付で相殺するなど、アクションしやすいのです。

DOWELL編集部: すぐにでも使ってみたいアプリですね。ちなみに私たちが提唱している「Do well by doing good. 」活動は、「いいことをして世界と社会をよくしていこう」というもの。そのひとつとして「食のよいサイクル」という、生産者の自立と消費者のよろこびを同時に実現する事業を進めていますが、どのように思われますか。

清水さん: 大変共感します。生きていくには消費をしていかなければならないので、そこでできる限りベストな選択をしていくことは大切ですよね。これまでの消費システムがもたらした結果のひとつが環境破壊です。でもこれ以上自然環境が壊されてしまうと、私たちの平和・平穏な生活が維持できなくなります。これからは「地球環境の再生」を意識し、消費をする必要があると思いますし、寄付を通して地球環境に「お返し」していくという発想でやっていかないといけない。企業やその商品が生産地域の環境も改良していく「食のよいサイクル」は、必然的に環境問題の改善にもつながっていくのではないでしょうか。

DOWELL編集部: ありがとうございます。では最後に清水さんの「Do well by doing good. 」についてお聞かせください。

清水さん: また『weMORI』の話になってしまうんですが、6月中旬にクラウドファンディングを予定しています。アプリの開発資金を得ることが課題なのですが、直接寄付を募るのでなく、もっと自然に、森を守りたいという気持ちになってもらいたいと考え、オリジナルのリターンを制作中なんですよ。

実は、以前に教育のプロジェクトでご一緒した詩人の谷川俊太郎さんに、森をテーマに詩を書いていただけることになったんです。谷川さんとコラボする形で若手のアーティストも巻き込んで、「Regeneration = 再生」というテーマが 込められたリターンを届けることができたら、寄付をしてくれた皆さんに温かい気持ちになってもらえるのではないでしょうか。その収益でアプリの開発が進められたら、素晴らしいと考えています。

(前編)を読む>>>

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