(第5話)エシカルライフを楽しもう!/門倉多仁亜 【連載】あなたの「おいしい」が、だれかの「うれしい」に
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(第5話)エシカルライフを楽しもう!/門倉多仁亜

最近よく耳にするようになった”エシカル消費”とは、”倫理的に消費すること”を意味します。当然ながら、私たちは一切の消費活動なしでは生きていくことはできません。なので消費をする場合は、本当に必要なものかを考え、必要なものであれば”人と環境に優しい”モノやサービスを見極めて選びましょうという動きのことをエシカルライフと言うのだと、私は理解しています。

ドイツ人である母の哲学

英語では“vote with your wallet” という言い方をしますが、これは、自分のお金でものを買うこと、もしくは逆に買わない(ボイコットする)ことによって、作り手に対して消費者の意志を示し、会社経営にもっと倫理的な考え方を導入してもらおう、という意味です。ドイツ人は、どんなに小さな決断も、自分の生きる上での哲学に照らし合わせて考えることが好きです。そんなドイツ人である私の母は、もう何十年も前から「細かく個別包装されたクッキーやおせんべいは買うべきではない! ゴミばかりだ!」と怒って絶対に買いませんでした。

日本の”もったいない文化”はどこに?

日本においては、そんな母のようなタイプの人は珍しいと思います。むしろ”そういうものなのだ”と受け止め、思いをめぐらすこともなく、よく言えば素直に受け入れているように思います。また、それよりも、便利さに惹かれ、環境よりも個人の都合を優先する人も多いような……。

今でも忘れもしない、もう15年前のある日、大手町でスーツを着たサラリーマン風の男性がコンビニから出てきて、自動ドアを出た瞬間に袋に入っていたアイスをビニール袋から出してビニール袋をそのままコンビニの前にあるゴミ箱に入れて、アイスも開けて、その袋も捨てて、アイスを食べながら歩いて行きました。日本の“もったいない文化”はどこへ消えてしまったんだろうと悲しくなりました。

ちなみに、コンビニ大手のうちファミリーマートでは、70%を上回るレジ袋の辞退率を今後も維持できれば、年間でおよそ9,000トンのプラスチックの削減につながると見ているそうです。(※注)

ここで大事になってくるのは、自分で選ぶ目を持つこと。今はたくさんの情報が簡単に手に入るので、情報収集をするのはもちろんのことです。そして、今の自分が持っている考え方や、ものの選び方、そして価値観が、単なる習慣から来ているものなのか、自分なりに見極める(見直す)ことも大事なのではないかと思うのです。

※注)ファミリーマート2020年8月3日ニュースリリース「お客様のご理解とご協力により、7月のレジ袋辞退率は77%に」を参照

包む文化はハレの日のために

今は原則的に有料化されたので、レジ袋をあまり使わなくなったのはよいのですが、スーパーに行くとほとんどの野菜や果物がビニールに小分けされています。プラスチック消費を減らすのがレジ袋をなくす取り組みの背景にあるはずが、前以上にビニールの包みが目に止まります。今はコロナ禍ということも理由の一つにあるかもしれませんが、でもそれよりも、日本はやはり包む文化が根強いのではないか? と思うのです。根強く潜む、当たり前と思っている感覚を取り払っていただきたいのです。

包む文化は長年の歳月を経て育まれた日本の素晴らしい文化で、否定するつもりはありません。でも、それは特別な日のために取っておくというのはいかがでしょうか? ハレの日と日常をしっかり区別をしたほうが、ハレの日がより引き立つようにも思いませんか? さすがに今は言われなくなりましたが、その昔、デパートで包みはいらないと頑なに断ると、商品を渡してくれる時に”裸で申し訳ありません”と言いながら渡してくれたのを忘れません。日常は気取ることなく、自分にも地球にも優しい自然体でいたいものです。

エシカルライフとは「主体性を持って生活をすること」。シンプルに考えて、そんな楽しいことはないと思いませんか? 私たち一人ひとりの力が集まれば、大きい力となります。自分の行動によって少しでも世の中がいい方向へ向かっていけば、そんな嬉しいことはないですよね!

EUの鶏むね肉の話

1年以上前に、ニューヨーク・タイムズ紙で、興味深い記事を読みました。英国がEUに加盟していたことで、この20年間、英国人は好きな鶏のむね肉を存分に食べることができた。なぜなら、EUに加盟している東欧諸国では、むね肉よりも、もも肉が好まれているので、英国内であまってしまったもも肉は東欧諸国に輸出ができ、その結果、英国内ではむね肉の価格を抑えて提供できていたというのです。しかし、英国がEUを離脱すると、輸出基準が変わったり厳しくなったりして、税関で手続きに時間がかかるようになり、肉の輸出が難しくなるのではないかというのです。そこで英国では、国民にどうにかもっともも肉を食べてもらおうとメディアでレシピを紹介したり、冷凍食品にも、もも肉を使うように工夫を凝らしているというのです。

「え?」と思われた方も多いと思います。そう、日本ではもも肉の方が好まれていて、むね肉をおいしく食べるためにはどうしたらいいかという提案をよく見かけますよね。英語では、むね肉はwhite meatと言われ、dark meatのもも肉に比べて脂が少なく柔らかいイメージがあり、美味しいと思われているのです。むね肉を好む英国人は、むね肉の美味しい食べ方を、もも肉を好む日本人は、もも肉のおいしい食べ方を知っているのだと思います。同じように、酸味の強い果物、熟れすぎた野菜、かたくなったパン……。これらも「美味しく食べられるはずがない」という先入観を捨てて、「こうすれば美味しいかもしれない」と、自らが美味しく食べる工夫をすることでも、世の中は変わっていくはずです。

不完全であっても、できることから

長年生きてきた結果、私たちにはそれぞれ、たくさんの思い込みがあると思います。私にもきっとたくさんあるのです。でもこの地球はもうパンク寸前なのです。なんでもパーフェクトである必要はありません。消費をする時には意識をすること。なんでも一度疑問に持つこと。そうすれば自然に、地球に、人に優しい、そして無理をしない自分にももっと優しい、エシカルな暮らし方が見えてくるのではないでしょうか。

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<プロフィール>

門倉多仁亜

1966年兵庫県生まれ。日本人の父とドイツ人の母の元で日本、ドイツ、アメリカで育つ。国際基督教大学卒業後、証券会社の勤務を経てコルドンブルーにてグランティプロムを取得する。

現在は、東京と夫の実家のある鹿児島の2拠点をベースに暮らしており、料理教室を主宰する傍ら、メディアを通してドイツ人のシンプルな暮らしをメディアを通して紹介する。

著者、「タニアのドイツ式心地よい暮らしの整理術」(三笠書房)、ドイツの焼き菓子(SBクリエイティブ)など。

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