Well(よい)消費行動で社会が変わる/imperfect佐伯美紗子(前編) 【Cover Story】よりよい世界へ。よりよい社会へ。
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Well(よい)消費行動で社会が変わる/imperfect佐伯美紗子(前編)

令和元年7月、表参道ヒルズにオープンした「imperfect表参道」は、世界の食と農を取り巻く様々な社会課題に対し自分たちで出来ることから少しでも世界と社会をよくしていこうという想いで誕生したマーケット&カフェ。社会的・環境的価値の高い取り組みを通じて生産されたナッツ/スパイス/カカオ/コーヒーなどの素材を掛け合わせ、独自のおいしさを提供してくれます。

今回はこの「imperfect表参道」を企画・運営している佐伯美紗子さんにオープンまでのご苦労や現在の思い、今後の夢などを語っていただきました。

幼い頃のマイノリティー経験

DOWELL編集部: 今日はよろしくお願いします。

まずは佐伯さんの生い立ちを伺えればと思います。幼少期はどのような女の子でしたか?

佐伯さん: 父の仕事の都合で小さい頃から家族でアメリカのテキサス州に住んでいました。期間としては短いものでしたが、私の人格や考え方の形成に大きな影響があったと思っています。

英語が喋れないまま向こうに渡って、現地の小学校に入ったばかりの頃は、相手も小学生だったりするので、心ない言葉を言われたりしたこともありました。自分自身がマイノリティーであるという経験が非常に強く印象に残っていて、その経験のおかげで人ってそれぞれ違う考え方を持っているんだなとか、自分で考えて自分の意見を持ってきちんと表現しないと、相手には全く伝わらないんだなということを学ぶいい機会になったと思っています。

それに加えて、日本人が全然いないところで生活していましたので、自分たち家族が生活していくにも、父の同僚や現地の友人など、いろいろな人に支えられて生活が成り立っているということを幼い時から感じていました。

日本人がいない現地校へ入学

DOWELL編集部: 向こうに行かれたのは小学校何年生の時でしたか?

佐伯さん: 6年生でした。

DOWELL編集部: そこから中学校に進まれたわけですけど、日本にいても小学校から中学校に進学する時というのは結構大変な時期ですよね? 特に女の子というのはいろいろあると思うのですが、ご苦労もたくさんあったのではないでしょうか?

佐伯さん: 通っていたのは現地校でした。ですから、そこで出会った友だちにすれば、私は初めて見る日本人だったと思います。そもそもアジア人でさえも初めて見たのではないかと思うのですが、英語が喋れない人間に対してどう接していいのか、彼らもきっと分からなかったはずです。そういった中でお互いに理解がないので、差別的な発言を受けることもありました。

DOWELL編集部: おそらく英語もものすごく勉強されたんですよね?

佐伯さん: はい。ただ小学生だったこともあって、勉強するというよりも自然に覚えていったという感じでした。私が通っていた学校は幼稚園から中学校まである一貫校で、当時、私は小学校の6年生でしたが、最初は2年生のクラスで英語、日本でいう国語の授業を受けるところから始めました。

今の私に影響を与えた2つの経験 【1.決して恵んではいけない】

DOWELL編集部: そこでどんなことを感じて育ってこられたのでしょうか?

佐伯さん: 今の私の仕事観にかなり大きく影響していると思える経験が2つあります。

1つはその当時、父はメキシコで働いていましたので、家族でよくメキシコに行く機会がありました。その時、私と同世代であったり、まだ歩けるようになって間もない子供が物乞いをしていて、特に私たち日本人とか外国人が乗っている車を見ると集まってくるんです。そんな姿が印象的で、今も心に強く残っています。

その時は私自身もまだ幼くて、そんなことが起こっている背景が分からなくて、ただ単純に可哀想だなと思っただけでした。そして、その可哀想だという気持ちから、自分もお金をあげたほうがいいのかなと思ったりしたこともありましたが、その時、父の同僚のメキシコ人に「決して恵んではいけませんよ」と言われたのです。

DOWELL編集部: それはどうしてですか?

佐伯さん: 恵んでしまうと、彼らは一生、この生活をし続けることになるからです。父の同僚のメキシコ人は「彼らの親が、子供を使えばお金が稼げるということを知ってしまうと、彼らは学校にも行けなくなるし、このままの生活がずっと続くことになる。そして、その子供たちが大人になった時、自分の子供にも同じことをさせていくんだ」と言うのです。

もちろん短期的な緊急支援は必要だと思いますが、私はこのことから、何か社会の仕組みや経済そのものが変わっていかないと、この状況はいつまで経っても変わっていかないということを学びました。

DOWELL編集部: なるほど、それは貴重なご経験ですね。それは日本にいたのでは決して学ぶことのできないことだと思います。

今の私に影響を与えた2つの経験 【2.楽しかったボランティア活動】

佐伯さん: もう1つは、ボランティアにたくさん参加したことです。といっても、友だちと一緒にいるのが楽しくて、週末になると教会を直しに行ったり、老人ホームに行って話し相手になったり、お掃除のお手伝いをしたりとか、そういうことをやっていました。日本でボランティアというと、自分が我慢をして誰かのために何かをするというイメージがありますよね。

でも、当時の私はただ自分自身が楽しいから参加していただけだったのですが、その結果、誰かが喜んでくれているという感じでした。

DOWELL編集部: それもまた、まさにdo wellないいお話ですね。日本でもその考え方を広めていきたいですね。

佐伯さん: ハードルが高くないというか、楽しくないと続かないですよね。

自分の消費行動を変えることで社会を変えられる

DOWELL編集部: 先ほどの社会や経済の仕組みを変えないとダメというお話ですが、それはとても大きな問題だと思います。個人が1人で頑張っても無理がありますからね。

佐伯さん: 私が今の事業に携わる前に考えていたのは、自分の消費行動は経済活動の1つなので、自分の消費行動を変えることで何かを変えることができるのではないか、ということでした。

私たちが消費する100円って、同時に投資行動だと私は理解していて、自分が応援したいと思う企業にその100円を使えるか、そうじゃないかということだと考えています。

DOWELL編集部: 今のお話はとても分かりやすいですね。消費者が目利きをして、いいものをちゃんと選んで適切な価格で買う暮らしができれば、生産者にもフィードバックできますし、消費者も生産者も含めて社会がよくなります。そうなると社会の仕組みが変えられるかもしれませんね。

佐伯さん: ええ、私もそう思います。

DOWELL編集部:  気づきってとても大事だと思うんです。佐伯さんの場合はアメリカで気づきがあったことがよかったんですね。

佐伯さん: 生活者が消費行動の重要性に気がついた時に、どこの商品を買えばいいのか、どのブランドを買えばいいのかわからないこともありますよね。

今後のimperfectにも通じることですが、社会課題に興味を持ってくださる方にとっては、例えばチョコレートやコーヒーはimperfectが1つの選択肢としてあります。でも、「同じような消費行動をしたい。他のものはどこで買えばいいの?」と思った時に、選択肢を提供してくれる存在があるとうれしいですよね。私はimperfectに加えて「Do well by doing good.」の活動を広げる取り組みを行っています。

その「Do well by doing good.」という活動では、生活に必要な消費活動を行うにあたって必要な全ての選択肢を提供できる枠組みになればいいなと願っています。

DOWELL編集部: 選択肢が多いというのはとても大事ですね。

佐伯さん: 私もそう思います。就職を考えた時、何かやりたいなと思った時に影響の幅とか大きさの選択肢が多いということが一番のポイントになりましたから。

 

(後編に続く)

「Do well by doing good.」の輪を広げていきたい/imperfect佐伯美紗子(後編)

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