米ぬかを徹底的に活用して、健康や環境保護に貢献する(前編)/築野食品工業 築野富美さん
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米ぬかを徹底的に活用して、健康や環境保護に貢献する(前編)/築野食品工業 築野富美さん

FANTASTICS from EXILE TRIBEの佐藤大樹さん、堀夏喜さんが、「Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう!」という活動に取り組む企業や団体を訪問するこちらのコーナー。今回訪れたのは、和歌山県の紀ノ川沿いにある「築野食品工業株式会社(以下、築野食品)」。昔は廃棄されることもあった米ぬかを活用して、「こめ油」をはじめ、医薬品原料や化粧品、油脂化学製品、そしてお菓子まで製造しています。また、工場や生産ラインなどにおいても環境への配慮を徹底し、さらに地域貢献にも注力している企業です。今回は堀夏喜さんが築野食品の取り組みについて、代表取締役社長の築野富美(つの・ふみ)さんにお話をうかがいました。

不可能だと思われていた「こめ油」の事業化を実現

堀さん: 僕はとてもお米が好きなので、お米をムダなく使うという築野食品さんにとても興味があります。「こめ油」は、いつから作り始めたのですか?

築野さん: 当社の創業は1947年です。父の築野政次(つの・まさじ)が、第二次世界大戦でひもじい体験をし、戦争から日本に帰還後、「食糧の安定供給が図れる事業で社会に貢献したい」との想いから興しました。当時の農林省指定の精麦工場を建設してスタートしたのですが、その後、麦の消費減退にともない事業の多角化を図り、米ぬかを原料とする製油業に進出したのです。

堀さん: なるほど! 「こめ油」って、米ぬかが原料なんですね。ところで、米ぬかってどんなものなのでしょう?

築野さん: お米好きの堀さんなら、白米だけでなく茶色っぽい玄米もご存じでしょう? 玄米の表面を削って白米にする作業を精米と呼ぶのですが、米ぬかはその過程で生じる、皮や胚芽の粉のことです。ビタミンやミネラル、脂肪などの栄養素はもちろん、食物繊維など健康のためにいい機能性成分もたくさん含んでいるんです。

堀さん: 米ぬかが、ぬか漬けに使われているのは知っていましたが、そんなに体にいいものだったんですね! ちなみにどのような経緯でこめ油を作ることになったんですか?

築野さん: 父がお米屋さんから、「米ぬかが大量にあるんですよ。これを使って事業化することを考えてみたらどうですか?」と提言されたのがきっかけです。「じゃあやってみようか」と、当時の政府、研究機関の方々などに相談することから始めました。

当時たまたま、大手製油会社の技術者の方がかつらぎ町に住んでおられたのでご意見をうかがったら、「こんな難しいこと普通は相手にしないけど、本気でやるというのなら指導させてもらいますよ」と言ってくださったそうです。

堀さん: それは幸運でしたね。では、米ぬかから油を作るというのは、一般的ではなかったんですか?

築野さん: 食用油の原料と言えば、大豆や菜種が有名ですよね。これらは比較的扱いやすいからなのですが、米ぬかは扱うのが容易じゃなかったんです。集荷コストがかかるし、腐りやすいという短所もあったため、ほぼ飼料ぐらいにしか利用されてこなかった。でもそうした課題を何とか克服して事業化することができたんです。亡き父や、弊社の井戸を掘ってくださった創業当時の従業員の方々が絶対あきらめなかったことを誇りに思います。

堀さん: できあがったこめ油は、原料の米ぬかのように、体にいいものなのですか?

築野さん: はい。米ぬか由来の機能性成分、たとえばビタミンE、スーパービタミンEと呼ばれるトコトリエノール、植物ステロール、γ-オリザノールなどをたっぷり含んでいて、健康と美容によい植物油として高く評価されています。風味もよくて、どんな料理にも美味しく使っていただけるんですよ。

実は日本の食用油の原材料自給率は3%と言われています。全体から見るとわずかではありますが、その植物油のほとんどが、このこめ油なんです。米ぬかから油を作ることは、食用油の国内自給率アップにつながることです。このことは、私たちのモチベーションにもなっています。米ぬかは、昔はほとんどが廃棄物として処理され、いわば持て余されていたのですが、今お話したように、本来、高い潜在能力を持っているものです。その能力をしっかり引き出して製品化できているのは、社員みんな創業者の精神を受け継ぎ、必死にやってきたからと自負しています。

医薬品、化粧品、食品……。世界に注目される“米ぬか”の可能性

堀さん: まさにサステナブルなお話ですね! ところで、こめ油以外にも医薬品原料や化粧品、油脂化学製品、お菓子など、いろいろな分野で、米ぬかやお米を使った事業を展開されているそうですが、医薬品事業には、半世紀も前から取り組まれていたとうかがいました。お米と医薬品という組み合わせが、僕にとってはとても意外です。

築野さん: 医薬品製造を始めたのは昭和40年代ですね。きっかけはドイツの大手試薬メーカーや、国内外のドリンクメーカー各社から声をかけられたことです。「ビタミンB群のイノシトールという成分が大量に必要なのだが、米に含まれているそうですね。供給できるのなら、いくらでも購入を検討しますよ。ぜひ作ってほしいですね」と依頼されたんですよ。人々の健康に役立てるならと必死で取り組みました。

堀さん: 海外から直々に声がかかるなんてすごいですね!

築野さん: イノシトールは頼まれて開発したものですが、既存の製品を海外の会社が見つけてくれたケースもあります。例えば米ぬかから抽出したフェルラ酸。これは実は、バニリンの原料になるんです。

バニリンというのはバニラの香りがする物質のことで、通常はバニラビーンズから抽出します。でもそれだけだと需要に追いつかないので化学的に合成もするのですが、それよりも天然の方が体にいいとの評価でした。

それで、ヨーロッパで天然のバニリン抽出に取り組んでいる業界トップの方が私たちのフェルラ酸のことを知って、この和歌山まで足を運んでくださったんです。今では、日本の築野食品のフェルラ酸から作るバニリンは天然由来とヨーロッパで認められていて、有名なチョコレートなどの香料の原料に使われているんですよ。

堀さん: すごい! お米が意外な形で世界を舞台に活躍しているんですね!

築野さん: さらに、マグネシウムというと通常は鉱物由来のものをイメージすると思いますが、ライスマグネシウムという天然植物由来のマグネシウムも数年前に商品化しました。2019年には、ある清涼飲料メーカーのジュースの成分として入れてもらえることになって、世の中の健やかな暮らしに役立っていると思うととても嬉しいです。

堀さん: チョコレートやジュースにも……。努力をしていると、ちゃんと神様が見てくれているんですね!

築野さん: このあたりは、高野山に見守られていますからね。お大師様(空海)の「生かせいのち」の教えで、「生かせ米」ですね(笑)

前編では、築野食品の製品やお米の持つパワーなどについてうかがってきた堀さん。後編では、築野食品が取り組んでいる、世界や地域社会への貢献活動についてお話を聞いていきます。お楽しみに!

(後編)を読む>>>

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