女性が中心のコーヒー農園「Café Delas(カフェデラス)」 ブラジルから来日された生産者のお二人にお話を聞きました。
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女性が中心のコーヒー農園「Café Delas(カフェデラス)」

左:ブラジル ノヴァ エスペランサ農園/アラベラ・ペレイラ・リマさん。右:ブラジル ランチョ アレグレ農園/フェルナンダ・セラーノ・デ・オリヴェイラさん。

ブラジルでスタートした女性が主体で経営するコーヒー農園をサポートする“カフェデラス”プロジェクト。コーヒー生産国として有名なブラジルですが、そこでは女性たちが不平等な環境で農業に従事しているといわれています。実は女性の就労時間は男性に比べて1週間あたり7.5時間も長いにもかかわらず収入は30%も低く、さらに発言権も弱いのが現実。この不平等を是正することを目指し、設立されたのが“カフェデラス”。女性たちに十分な教育を受ける機会を創出し、活躍の場を広げるプロジェクトです。今回は、そのプロジェクトに参加する女性生産者のお二人にお話を聞きました。(記者・リョウコ)

インタビューは、ウェルフードマーケット&カフェ「imperfect表参道」にて。

左:ブラジル ノヴァ エスペランサ農園/アラベラ・ペレイラ・リマさん。右:ブラジル ランチョ アレグレ農園/フェルナンダ・セラーノ・デ・オリヴェイラさん。

女性の活躍で、より高品質なコーヒーを

DOWELL編集部: おいしいコーヒーを作るために、一番大切だと思うことは何ですか?

オリヴェイラ: 誠実さを持って生産に従事することです。品質においては収穫後のプロセスも大事ですので、すべての工程で自らが責任を持って品質を管理し、商品の完成度を高めるようフォローしていくことが重要だと考えています。

リマ: 私は、そもそもコーヒーが大好きなので、愛情を持って作ることが大切だと思っています。また、コーヒーづくりは一人ではできないので、仲間と力を合わせることが大事。そして、やはり一番肝心なのが品質に対する注意力。収穫が終わった後、コーヒー豆を乾燥させる作業が一番クオリティに影響を与えるので、とくに注意を払っています。

DOWELL編集部: 独自の工夫などはありますか?

オリヴェイラ: コーヒーの製法として、水洗式と非水洗式という二つの方法があるのですが、私が行っているのはその中間のようなことです。非水洗式はナチュラルともいわれ、収穫したらそのまま天日干しにしてから外皮を外すのですが、私の場合は、豆が乾燥し尽くす前に外皮を取って次の工程に進みます。これはナチュラルよりもこまやかな管理が必要なのですが、よりスイートで透明感のある味わいがつくれます。ブラジルではあまりメジャーではない製法ですが、よりおいしいコーヒーをつくるために取り組んでいます。

リマ: 女性の方が、様々なプロセスにおいて、より細やかに見て作業をしていると思います。味についても、普段から料理をしていることもあり敏感ですよね。そのような女性ならではの感覚で、おいしいコーヒーを見極められると思っています。

オリヴェイラ: 生産現場では新しい技術も出てきていますが、本当においしいコーヒーを作るためにはテクノロジーではなく、人が関心を持って丁寧にケアをすることが大事です。コーヒーの木も、植えてから収穫するまで日々チェックが欠かせません。とにかく全ての工程を自分の目で見て、その時の状態に合わせた対応策を考えています。

右:ブラジル ランチョ アレグレ農園/フェルナンダ・セラーノ・デ・オリヴェイラさん。

“Café Delas”のプロジェクトについて

DOWELL編集部: プロジェクトや女性支援についてはどう感じていますか?

オリヴェイラ: カフェデラスのプロジェクトで、コーヒー生産の従事者に技術や経営を教えるコースがあり、コーヒー生産に携わりたいという人を支援しています。女性を中心に、コーヒーが好きな人たちをケアしてくれる方針が、皆のやりがいにつながっていると思います。

リマ: 女性がコーヒー生産に従事できるきっかけとして、良い活動だと思っています。生産に携わっている中で、ここに来れば女性はもちろん、誰もがいきいきと働ける環境が整っているので、支援に大変感謝しています。また、更に支援の輪が広がればと思います。

左:ブラジル ノヴァ エスペランサ農園/アラベラ・ペレイラ・リマさん。

ふだんの生活について

DOWELL編集部: プライベートな時間は何をされていますか?

リマ: 家族と一緒に過ごす時が一番の楽しみ!私には二人子どもがいるのですが、もう大学生なので、そろそろ独り立ちをする頃です。それまで一緒にいる時間を楽しんで、寄り添うことが母の使命かしら。空いた時間はなるべく家族と過ごしていますよ。

オリヴェイラ: 農園で飼っている馬を、夫と週末にケアすることで、自分もリフレッシュしています。

DOWELL編集部: 将来の夢は何でしょう?

リマ: 自分の作ったコーヒーを、たくさんの人においしく飲んでもらうこと。消費者とリンクするような感覚でしょうか。今回、この場所でコーヒーを飲みながらインタビューを受けることで、夢が半分叶った気持ちです。残りの半分は、自分のこの経験をまわりに伝えて、もっとたくさんの女性生産者を増やしたい。結果として、よりおいしいコーヒーを多くの人に届けられたらいいですね。

オリヴェイラ: 自分の作ったコーヒーが、経済面も含めて価値を認めてもらえたら嬉しいです。そして男女関係なく、コーヒー業界をもっと良くしていきたい。ブラジルのコーヒー業界はまだまだ男性優位な面があるので、これからも女性の活躍を支援していただけると、有り難いと思っています。

コーヒー生産者の「Do well by doing good.」とは?

DOWELL編集部: おふたりにとって世界をよくする行動とは何だと思いますか?

オリヴェイラ: 私たちの“カフェデラス”プロジェクトが、まさにそう!

リマ: このプロジェクトを通じて、私たちが得ることができた幸福感や満足感を、自分のためだけに使うのではなく、そういったことを感じていない人たちにも広めていくこと。もっとこの活動を広げて、コーヒー生産の事業を良くしていきたいです。

オリヴェイラ: 女性同士がどんどん集まれば、社会的にも力を持つことができるし、一定の影響力が出てきます。それにより、社会や世界をよい方向に動かすことができると思います。

リマ: ここで行っている投票の情報も、興味深いですね。消費者はどういうことを思っているか、そして私たちのコーヒーがどう評価されているかを知って、その情報を生産者同士で共有したいです。

DOWELL編集部: 社会や世界がよくなる未来に向けて、もっとこの活動が広がっていけばいいですね。ありがとうございました!

左:ブラジル ノヴァ エスペランサ農園/アラベラ・ペレイラ・リマさん。右:ブラジル ランチョ アレグレ農園/フェルナンダ・セラーノ・デ・オリヴェイラさん。

imperfect表参道」の店内に設置されているDo well by doing good.活動(プロジェクト)への投票箱。現在、プロジェクトテーマは全部で3つ。その一つは「カフェデラス」のプロジェクト、「女性たちの農の学びを支えて平等な社会を!

いいことをして、この世界をよくしていこう。~ DOWELL(ドゥーウェル)~
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