中平さん: 一言でいえば、野生のコーヒーに付加価値をつけるという取り組みです。アラビカ種というコーヒー豆の起源であるアフリカのエチオピアでは、現金収入を得るために森の木々が伐採されているため、環境破壊が懸念されています。経済を取るか、環境を取るかという、二者択一を迫られる状況にあったわけですが、そこで注目されたのが、森林の中で自然のままに育っているコーヒーでした。
堀さん: コーヒーって自然に育っているものなんですか?
中平さん: ええ。しかもこれは実に素晴らしいコーヒーで、もっとそのポテンシャルを引き出すことができたら、高付加価値商品として販売できるかもしれない。そうすることで、エチオピアの人々の、経済的な豊かさと自然環境の保護を両立することが可能になるかもしれないと考えたわけです。
そのために現地の方がコーヒーで十分な収入が得られるよう、さらなるコーヒー品質の改善に取り組み、森林伐採を減らすことで、森林保護につなげようというのがこのプロジェクトです。私たちは主に品質向上のために適切な収穫のタイミングや、よい品質のコーヒーの味わいをレクチャーするなど、現地の方が無理なく継続できるやり方で、技術指導に携わってきました。森林の保全にも非常に効果が現れていて、活動する地域を拡大しているところなんですよ。
堀さん: 森の中で、人間の手を借りずにコーヒーが育っているって、アフリカの自然の豊かさを改めて感じますね。しかもそういった場所で、人間が少し手を加えることでもともと自然の中にあるものを活かして新しい価値が生まれ、経済と両立できるようになるというのは素晴らしいですね。
中平さん: また私たちは、そのような環境保護だけではなく、社会的に弱い立場にある女性も支援しています。ニューヨークに本部を置く『IWCA(国際コーヒー女性連盟)』というNPO法人があるのですが、これは、コーヒー生産に携わる女性の生産技術と地位向上、持続可能な社会生活の実現を目的として設立された団体です。生産国のコーヒー農園で働く女性は単なる労働集約的な仕事しか与えられず、男性と比べて激しい労働格差があるのです。『IWCA』はそのような現状を変えていこうとしているのですが、UCCグループは、『IWCA』の活動や理念に賛同して、『IWCA』が支援するコーヒー豆を使った『UCC ホンジュラスWOMEN’S COFFEE 豆AP200g』という業務用商品の販売を始めました。私たちは、持続可能なコーヒー産業を発展させていくためには女性の活躍が不可欠だと思っています。このコーヒーの売り上げの0.5%が『IWCA』に寄付される仕組みになっているんですよ。